プロフィール
私はデータ解析の研究者としてIBM東京基礎研究所・数理科学部に所属して働いています。
優れた機械学習アルゴリズムを用いて
i) 人間の行動に関係した複雑なデータセットをモデル化して解析したり、
ii) マーケット・インサイトのような実践的に使えるビジネス上の知見を引き出すこと
を目標に仕事・研究に励んでいます。
私が関心を抱いている研究分野は、ロバストな教師なし構造学習アルゴリズムです。 特に、パラメータの最適化が安定で簡単であるにも関わらず現実のアプリケーションにおける 精度が高くなるような、ある種の限定されたクラスの統計モデルを研究しています。 たとえばk-平均法や Expectation-Maximizationアルゴリズムにもとづくクラスタリング問題や 隠れマルコフモデルの推定に見られるように、 多くの教師なし学習アルゴリズムには局所最適性の問題がつきまといます。 よく観察されることとして、発見された局所解は 「確かにそのようなデータの見方も可能なんだけど不自然な」解釈に対応していたりします。 局所最適性の問題は、探索されるパラメータ空間が広すぎて自由度が高すぎるときに 発生するため、探索されるパラメータ空間が限定されており且つ表現力が 依然として柔軟であるような統計モデルを設計するのは、 どんなデータセットにも適用可能なデータ解析法を生み出す上で鍵となるチャレンジです。 言い換えれば、私は計算上の難しさと実用上の予測性能の間に存在する 「ギャップ」をいつも探しているのだと思います。 これは目的関数が厄介でより困難なクラスの問題を解ききる華麗なアルゴリズムを探している 最適化アルゴリズムの研究者とはある種逆のアプローチで、実アプリケーションで 実質十分に動かせるような単純な問題設定を探しているわけです。
ビジネス観点では、私は自分の研究成果をマーケティング解析とリスク分析に適用しています。 TVコマーシャルなどのマス・マーケティングとE-mail販促のようなダイレクト・マーケティングの双方において、 構造学習アルゴリズムは消費者の真の振る舞いを理解し記述する上で非常に有効です。 マーケティングの難しさというのは、顧客の振る舞いがうつろいやすく先が読めない点にあります。 宣伝チラシへの反応から実際のサービス・製品の購入にいたるまで、 潜在するメカニズムを明らかにできれば企業が高い利潤を生み出せるようになると私は信じています。 加えて、マーケティング活動においては定量的なリスク評価やそれに基づくリスク分散も実は重要です。 というのも、非効率な宣伝に見られるいくつかのプロモーション活動は、 無駄な宣伝費だけをもたらしたり、場合によっては今後の利益にとって 重要なブランド価値を傷つけたりと、大きな損失をもたらす場合があるためです。 消費者の振る舞いは確率的に揺らいでいるとみなすことが可能なため、 振る舞いの予測には不可避的に誤差が伴います。 このようなケースにおけるマーケティング活動の効果をリスクも含めて評価する際には、 確率的な予測モデルと密度推定法は鍵となる技術です。
マーケティング解析とリスク評価の関係においては、企業側のリスク選考以上に顧客のリスク選考を知ることが 製品やサービスを設計する上で重要だと、私は個人的に考えています。 このリスク選考問題について更なる関心をお持ちの方は こちらのコラムをお読みいただけると幸いです。
コンタクト情報
日本アイ・ビー・エム株式会社 東京基礎研究所
〒242-8502 大和市下鶴間1623-14 大和事業所内 B館4F
e-mail:
履歴
- 2004年~ 日本アイ・ビー・エム東京基礎研究所
- 2004年 東京大学大学院情報理工学系研究科 電子情報学専攻修了 (修士)
- 2002年 東京大学工学部 電子情報工学科卒業
研究業績
受賞
- (With team members) winning in ICDM Data Mining Contest , 2007
査読つき国際会議
- R. Takahashi, "Separating Precision and Mean in Dirichlet-Enhanced High-Order Markov Models", In proceedings of The 18th European Conference on Machine Learning (ECML 2007), pp.382-393, 2007 pdf(194KB)
その他
- Rikiya Takahashi, Takayuki Osogami, "Action-Sensitive Hidden Markov Model of Customer Behavior", In proceedings of New Directions of Research in Marketing (University of Tsukuba and Tohoku University), pp.119-134, 2006
- 高橋力矢,峯松信明,広瀬啓吉,"複数のバックオフN-gramを動的補間する言語モデルの高精度化",電子情報通信学会音声研究会,SP2003- 123,pp.61-67 (2003-12)
- 高橋力矢,峯松信明,広瀬啓吉,"文脈適応による複数N- gramの動的補間を用いた言語モデル",情報処理学会音声言語情報処理研究会,SLP2003-46,pp.37-42 (2003-5)
オフの私
私の趣味の一つは管弦楽曲の作曲です。 アルノルト・シェーンベルク、グスタフ・マーラー、そしてジャン・シベリウスら 後期ロマン派時代の作曲家に強い影響を受けました。 それ以上に、私は映画音楽の作品で特に有名な作曲家に畏敬の念を抱いています。 若いときから、ミクロス・ローザ、ジェリー・ゴールドスミスは私の情緒的な体験の中心人物でした。 多くの音楽好きの皆様に対して、私は"ベン・ハー"、"エル・シド"、"白い恐怖"、"パピヨン"、 "QB VII"、"ランボー"、"ルディ"のスコアをお薦めしたいと思います。
作品
- Rikiya Takahashi, "Passacaglia for String Quintent Op.1", 2008 pdf(540KB)
私はまた比較的長い休暇をとってたとえば北欧のように、空気や水の綺麗な国・場所に出かけるのが大好きです。 青く透き通った湖や澄んだ空気が、次の研究や作曲へのアイデアのためのエネルギーをわけてくれます。

Hallstatt in Austria

Gullfoss in Iceland

Jökulsárlón
in Iceland
